春闘討論集会 第1部 愛媛新聞有志勉強会の調査報告

新聞の読まれ方と作り手のルール 不一致の多さに衝撃

 九州地連は沖縄地連と合同の春闘討論集会を1月30日、北九州市の毎日会館で開催した。九州・沖縄地連の各単組組合員をはじめ、新聞労連の新崎盛吾委員長、東北地連から鎌田秀人副委員長兼産研座長、そして一般市民も含め約60人が参加した。第1部は愛媛新聞の有志勉強会が行った新聞の読まれ方100人調査の結果が報告された。われわれ作り手(編集・整理)が「この順序で読むだろう」「読みやすいはず」と、根拠もなく守っているルールやセオリーが、読まれ方と多くで一致しなかったことに衝撃を受けたといい、報告を聞いた会場の参加者も驚きの連続だった。第2部では、市民も交え、「憲法違反の安保関連法を廃止に」のシンポジウムを開いた。(第2部の要旨は次号に掲載します)

地元の久保田修寿・毎日新聞労組西部支部長が歓迎のあいさつ。続いて新聞労連の新崎委員長が「新聞の未来は非常に厳しい。また、安倍政権が発足して以降、平和と民主主義が脅かされる状況にある。こういうときだからこそ、連携を強めて、業界の未来を切り開いていこう」と、連帯と団結を呼びかけた。

第1部では、愛媛新聞の有志勉強会の山下直人さん、秀野太俊(しゅうの・たかとし)さん、伊藤一紀さんの3人が、新聞の読まれ方について行った調査結果を報告した。2013年の夏、愛媛新聞の12段化の議論が始まった。12段化の会社の理由は「他社もやっているから」「新聞業界の流れだろう」「読みやすくなるだろう」程度だった。明確なエビデンス(証拠、根拠)がないこと、現在は多くの企業が行っているPDCAサイクル(Plan「計画」、Do「実施」、Check「点検・評価」、Action「改善」の事業活動のサイクル)が、紙面改革には全く不在である恐ろしい現実を感じた」と、有志勉強会発足の契機を述べた。

第1期の活動は、「何が問題点なのかを洗い出す調査をまずしてみよう」と、勉強会の部員の家族や友人など34人を対象した予備調査だった。調査する中で、30歳代男性の「一番読みやすいのはヤフーニュースでしょ」との答えや、新聞製作のルールやセオリーは読み手にはほとんど理解されていないことが分かり、「非常に衝撃を受けた」と述べた。ユーザビリティーという観点が新聞作りには、すっぽり抜け落ちていることを実感したという。

 「どうやって一般の読者の意見を吸い上げるのか、真正面から聞いても、突っ込んだ意見は聞けないだろう」と、発話思考法(考えていることをことばで発してもらう)という調査方法を決めたという。予備調査では、質問したいことは100を超え、1人の調査時間が3時間になったこともあったそうだ。調査者の知人や親族だからできたことで、あえて少人数で多角的にいろいろなことを検証し、そこで得られた知見を基に証明すべき仮説を立てて、本調査に入ったということだった。

具体的な報告は、紙面を読む順序を視線分析から解説。紙面は頭、肩、へそ(腹)に大きな見出しや写真を配置している。編集・整理では読ませる順序を「頭から肩へ、そして腹へ」と考えている。調査では、「頭から肩へ」は6割、「頭から腹へ」は1割だった。視線の動線は逆Z型になることが分かった。読者、非読者どちらも傾向は同じだった。肩にわざとベタ見出しを配置した紙面では、読者は習慣化しているから、頭から肩へ行くが、非読者は腹の写真に引っ張られて、そのまま下の記事へ行き、肩はあまり見なかった。

 見開き面では、「中央から読み始めるはずだ」との考えから、左面は右が頭、右面は左が頭ということになっている。調査では、「左面の頭から読み始めた人」は47%、「右面の頭や腹から読み始めた人」は46%だった。編集が読ませようと思っている順序「左面の頭から右面の頭へ」行く人は全体の2割しかいなかった。左面の頭から読み始め、それを読み終え、今度は一度読み終わった記事を飛び越えて右面に行くことへの抵抗が非常に多かったという。そこで、右面の右を頭にしてみたら、読者の6割は習慣的に左面の頭から読み始めるが、非読者では右面の頭から読み始める人がトップになる。視線が右から左へ水平に動き、途中の小さな見出しの記事も読み、読者には多くの情報に接してもらえるという。また「段線(棚線)を抜いたとき、見出しをまたいで記事は流れる」は、100人に聞いて誰一人知らなかった。こういったことの連続だったという。

紙面のレイアウトでは他に、読者に不親切だとしてタブーにしている腹切り、見出しの横並びの紙面を作って反応をみると、「記事のエリアが明確」という声が上がった。箱組み(四角組み)も同様の理由で肯定的だったという。

 また、見出しは記事を読まなくても記事の内容を判断できるようにしてきた。ところが、内容とは直接結びつかない、しゃれや遊びの見出しをつけてみたら、「分からないから記事を読んだ」との肯定的反応もあったという。

 読者の記事ジャンルの好みの分析もおこなった。記事ジャンルを「満足度」を縦軸に「期待値」を横軸に分布させたグラフを披露。事件事故への期待度は高いのに、行間を縮めてベタで掲載し満足度が低いのが現状で、改善の必要もあるという。また、1人の記事読了本数は最頻値が2本で、「記事の書き方も工夫が必要だろう」「レイアウトを変えても、不満足度が高まればだめだ」との考えから、記事の書き方の研究も第3期にやっていることが報告された。会場からの質問に答える中で、「広告の見方も知りたいと言われた。電通が興味を持っている。広告の見られ方が分かると、値付けが変わる」と、次なる研究のテーマも明かした。

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