大分で春闘討論集会

大分で春闘討論集会
非正規と向き合う年に

九州・沖縄地連合同の春闘討論集会が1月16日、大分市の大分合同新聞社で開かれた。

講演する前浦さん

「新聞社と非正規雇用」をメインテーマに、新聞労連の高森亮書記長、東北地連の大沢幸治書記長、沖縄地連の仲井間郁江書記長を迎え、九州・沖縄地連の組合員など九地連各労組を含め30人が参加。渡部さおり委員長は「2018年4月から労働契約法の改正がある。新聞社に勤める非正規従業員が担う役割が大きくなるなか、組合や職場の中での関係をどう築いていくか皆さんと考えたい。私自身が契約社員から登用制度で6年前に正社員になった経験から、組合は大きな後ろ盾だと感じており、非正規雇用の方が心配している部分にかかわれるのではないかと思っている」とあいさつした。高森書記長は今春闘の方針を解説し、団結を呼び掛けた。

集会の風景

 

組合が「同一労働同一賃金」実現を

第1部では独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の前浦穂高副主任研究員が「非正規雇用労働者と組合化」をテーマに講演した。非正規労働者の組合化後を追った調査研究をしている前浦氏は「組合の組織率低下傾向が続けば、どこかのタイミングで新しい集団的労使関係の在りようを模索する必要性が出てくる。非正規労働者の雇用無期化を控え、組合は今のままでいいのか」と問題提起。さらに、未組織労働者へのアンケートで「組合は必要」と考えている人が多いが、組合で非正規労働者に加入資格を与えている例は少なく、ニーズに対応できていない現状も指摘。「スト権など法律上保護されている組合が労働者全体を代弁する役割を果たすべきだ。労働組合は組合員の利益を追求すると同時に社会的な存在でもある。そこをどう考えるのかが組織化の取り組みに現れるのではないか」と投げ掛けた。

前浦氏は、非正規労働者を組織化した8事例の調査で、全ての組織で非正規労働者の処遇改善が実現したことを紹介。非正規労働者を組織化した理由が「非正規労働者の処遇改善と雇用を守るため」である一方で、組織化していない理由も「非正規労働者の処遇改善と正社員の利害調整が難しい。雇用維持も難しい」だったことを示し、処遇改善と雇用維持がポイントになると指摘した。8事例の調査結果を「基幹化」の概念から、▽非正規労働者の数が増え組織の過半数に近づく(量的基幹化が進む)につれ、組合は「過半数組合」を維持するために、非正規労働者の組合加入に乗り出す▽非正規労働者の業務が高度化(質的基幹化)が進み、正社員との業務が代替関係にある場合は正社員の雇用条件が危うくなる可能性があるため組織化が望まれず、非正規労働者と正社員との業務が補完関係にある場合は雇用条件が脅かされないため組織化が進みやすい―と分析した。                         

組織化に向けて前浦氏は、18年4月の無期雇用化で非正規労働者の雇用安定は一定確保されるとした上で、「処遇は組織ごとに異なるので、その組織内の労使で決めるしかない。均衡処遇、いわゆる同一労働同一賃金を実現できるのは労働組合しかないではないか」と指摘。正社員と非正規労働者の仕事を精査、賃金制度を公開し、「互いが納得できる適切な格差をどう設けるかが組織化の着地点。こうした点を踏まえ、今後、皆さんが組織化に取り組む際の参考にしていただきたい」と呼び掛けた。

組織化の現状、課題で意見交換

第2部のシンポジウムでは、地連各労組が非正規労働者の現状を報告。

高森書記長は「新聞社の別会社化の流れは印刷部門が多数を占める。それ以外の販売、広告、事業の別会社化は予測ほど広がっていない。編集整理の別会社化も加速の懸念があったが進んでいない。非正規労働者の割合は2005年が10.6%、15年が14.8%で思ったほど飛躍的には増えていないが、編集部門の非正規率が高まっている。新聞発行業務を続けていくために、正社員の抑制が限界というところなのだろう。ユニオンの場合は組織化が難しいが、労連としても組織化を提案していきたい。組織化のタイミングは早いほうがいい。組織としての支援が必要だ」と現状を解説した。

門脇氏は西日本印刷の組合を立ち上げた経緯を紹介し、「不安や不満を改善するためには組合が必要だった。組合結成によって処遇は改善された。一つ一つ勝ち取ってきたものは大きい」と力を込めた。西日本印刷では従業員の過半数をまとめて組合を結成。加盟している全印労連からは、結成の際や初めての団交など節目の場面で支援を受けたと説明した。

大分合同新聞労組委員長の乙咩氏は、正社員登用制度に加え本年度から始まった準社員登用制度について報告。組合化について「組合化が常にベストな選択肢というわけではないが、組合があることで正社員以外の非正規雇用社員の職場改善につながっている。現場の声を吸い上げる仕組みをつくることが組織化にもつながるのではないか」と話した。

高森氏は、出身労組の神戸デイリースポーツがエリア職社員を組織化したことに触れ「組合費はアンケートを取り、基本給を基に決めた。活動は職場(の枠組み)所属でスタートしている。最初の闘争では、エリア職の待遇を上げてほしいという思いから正社員の一時金の要求水準を下げた。ただ、正社員の賃金の原資を非正規従業員に振り分けるという考え方については、組合として現状の経営をきちんと見ないといけない。会社が言い出すことではなく理屈が違うことを念頭に置かなくてはならない」と話した。

質疑応答では、参加者から非正規雇用が増える現場の思いも寄せられ、「多くの社で非正規雇用の社員従業員とどう向き合うかを模索していることが分かった。取り組みを参考にしたい」などの声が聞かれた。

最後に、集会での議論の成果を生かして各単組が課題解決に取り組み、2017春闘で全国・地域の仲間と連携して賃上げと労働条件の向上を勝ち取る集会アピールを採択し、閉会した。

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