福島で東北地連産研集会

震災と向き合う報道を

原発視察、新聞の商品価値向上へ討論会も

福島第1原発の原子炉建屋クレーン作業

凍り付く凍土遮水壁配管バルブ

汚染水保管タンク(いずれも東京電力提供)

パネルディスカッションでの戸別勧誘ロールプレイ

新聞労連東北地連の産研集会が2月9、10日の両日、福島県内で開かれ、加盟単組のほか新聞労連本部などから約70人が参加。地連交流の一環で、九地連の役員も加わりました。東日本大震災、福島第1原発事故から丸6年を迎えるのを前に「今、必要とされる新聞とは~震災報道と商品価値向上に向けて~」をテーマに、同原発の視察や、販売職場の立場で意見を交わすパネルディスカッションを通して、両課題への向き合い方について考えを深めました。

9日の原発視察への道中、高速道路PAには放射線量の電子掲示板があり、線量への危機意識の日常化をみることができました。原発近くの帰宅困難区域では道路が整備され、町なかの土砂も取り除かれているものの、壁やショーウインドーが割れたまま手つかずの店舗などが点在し、農地には除染で出た土を詰めた袋が山積みにされ、生活再建の道のりの険しさを物語っていました。

原発ではバスの車窓から構内を見学。構内は廃炉作業に必要な施設や配管が整備され、原子炉建屋ではクレーン作業が続き、廃炉作業に伴い日々増え続けている汚染水の保管タンクも立ち並んでいました。一方で、津波の爪痕がいたる所にあり、海近くの施設の壁には高さ約17㍍の津波の跡がシミとなって残り、海辺のタンクは津波の威力で外壁がひしゃげたままの姿で残されていました。
構内は廃炉作業員の安全確保のため地面舗装などで線量の軽減が図られ、バスで巡った場所の多くは、線量が毎時10㍃シーベルト未満でしたが、3号機前では最大190を計測しました。さらに翌10日付の地元紙2紙が1面アタマで「2号機 過去最高値 推定650シーベルト」(福島民報)、「2号機650シーベルト 再び最高値」(福島民友)と報道。参加者は、前日に巡った構内に「数十秒で人が死に至る」線量が存在する現実と、廃炉作業の過酷さをあらためて突きつけられました。

10日は郡山市内のホテルで、「販売現場の現状と新聞の商品価値向上に向けて」と題してパネル討論。岩手日報、河北仙販、福島民報の販売に携わる3人が登壇し、各社の取り組みを説明しました。河北新報の販売会社従業員でつくる河北仙販労組の2人が戸別訪問の様子をロールプレイ。「大学生など若い世代は『ネットで無料で情報が得られるので新聞は要らない』と断る」「高齢者が入院で購読休止し、亡くなってしまう」「経済的な理由」など営業努力では対応が困難な現状を紹介しました。河北新報の未読者の半数未満が他紙購読、半数以上が無読者で、年々無読層が増えていると言い「新聞がない家庭に育つと、新聞がないこと慣れ無読層につながる」悪循環も指摘しました。
岩手日報は大震災後の配達が難しかった状況を説明し「新聞は避難所では重宝される。戸別配達の重要さをあらためて知った」。福島民報は「紙面で人を動かす」として、紙面で全59市町村応援プロジェクトを、事業では市町村対抗で野球や駅伝大会を実施している例を報告しました。
新聞が目指すべき方向性については「読者は今後どうしたらいいかが分かる記事を求めているのではないか」「生き残るビジネスモデルは配達網を維持すること」「能動的に開きたくなる紙面を作らないと新たな読者獲得は難しい。無読層の興味に合わせた紙面づくりを」などの意見が交わされました。

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