長時間労働是正へ全力

3月 東京総行動で講演、パネル討論

 春闘勝利を目指して、新聞労連と東京地連による「2017東京総行動」は3月15、16日、東京都港区新橋の航空会館でありました。各地連や加盟単組の約40人が参加し、長時間労働の是正をメインテーマに講演とパネル討論を開催。新たな働き方について理解を深めました。

冒頭あいさつで、新聞労連の小林基秀委員長は「新聞社の長時間労働は当たり前という時代は終わった。現在の経営者は昔のモーレツ社員で出世競争を勝ち抜いた面々。『俺たちはもっと働いた』という本音を感じるが、それに合わせてはいけない。これ以上、犠牲者を出さないようにすることが労働組合の役割」と述べました。

基調講演では、全労働省労働組合委員長で労働基準監督官の森崎巌さんが「長時間労働の是正に向けた立法提言と働き方改革」と題して話しました=写真中央奥。政府が働き方改革を進める理由について、「アベノミクスが行き詰まり、さらに人口減の中で労働力不足が深刻化した。総選挙を意識した政治的な要請でもあった」と分析。また、改革の別の側面について、「ネット上の労働市場など雇用関係のない働き方、つまり労基法適用外の働き手を増やして、労働者を二極化しようとしている。労働時間の管理を労働者に任せる裁量労働制などは悪用される危険もある」と警鐘を鳴らしました。その上で「全ての労働者がディーセントワーク(過労死のない働きがいのある仕事)を目指すべきだ」と訴えました。

秋田魁の是正勧告に学ぶ

続いてパネル討論を開催。パネリストに、森崎さんとワタミ過労死弁護団の弁護士玉木一成さん、秋田魁新報労組執行委員長の泉孝樹さんを迎え、「長時間労働・過労死をなくすために~労働組合は何をすべきか」をテーマに討論しました。
過労死を巡る損害賠償訴訟で最も問題になりやすい労働時間の定義について、玉木さんは「事業場で使用者の指揮命令の下に置かれている時間。記者の場合、事業場外であっても、携帯電話などで実質的に管理されていれば労働時間であり、(いい意味で)広く適用を受けやすい」と述べました。
泉さんは、秋田魁新報社が労基署による調査を受けた経緯を説明。同社社員が不払い残業代について秋田労基署に相談したことを発端に、2014年7月、労基署が会社に対して不払い残業代の調査を要請しました。これを受け、会社が社員(約220人)を対象に同年1~6月の勤務報告を精査した結果、総額約7500万円の不払い残業代を確認。不払い残業代を支払うよう同労基署から是正勧告を受けたということです。泉さんは「11月上旬に会社の説明会があり、社長が不払い残業代を全額支払う意向を述べた。翌日付紙面に是正勧告を受けたという記事を掲載したところ、全国紙から取材が相次いだ」と語りました。
この後、同社は、残業代が固定制から青天井になり、会社の時間外人件費は月約500万円増加したそうです。危機感を持った会社は12月、組合に対し時間外労働の見直しを提案。①深夜労働割増率を法定下限へ改定②所定労働時間の「1日8時間化」③固定残業代の増額(編集外勤は35時間から10時間増、本社営業外勤5時間増、そのほか2時間増)-の3項目を示しました。泉さんは「会社から社員に対し、不払い残業代の受け取り辞退を促すような働き掛けなどがあった」と明かし、協議拒否。その後、社長から組合へ直々に要請があり、15年1月にようやく協議入りしたそうです。
しかし、組合内で合意形成できず協議は長期化。「経験の浅い若い記者は原稿の書き直しなどで長時間会社にいるため残業代が増える。一方で仕事を早く切り上げて帰る人は残業代が多くつかないなど、社員間でも不平不満が募った。社内の雰囲気も悪くなり、人心荒廃の事態となった。パンドラの箱を開けてしまったようだった」と吐露しました。

質疑応答では、「根本的な問題で使用者の定義は」「新聞業界の長時間労働を美徳とする文化をどう変えればいいか」などの質問が出ました。これに対し、パネリストは「労基法では権限を持ち使用者的側面のある人物。入社2年目であっても、新入社員に命じる立場にあれば、使用者に該当する」「経営者がコストをかけて文化を改善するしかない。組合側も働き方を工夫して提案してほしい。長時間労働の削減と仕事の質は両立させなければいけないが、仲間から犠牲者を出さないという労働者の意識が大事」と述べました。

 2日目の16日に約20人で千代田区の新聞協会を訪問。長時間労働是正や販売正常化について要請文を手渡しました。続いて、近くの厚生労働省を訪れ、働き方改革や裁量労働制の在り方について懇談しました=写真

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