東北地連春闘新研集会

 2012東北地連春闘産研集会が2月2、3の両日、「東日本大震災から1年-東北の復興へ、新聞が今できる事」をテーマに福島市で開かれ、震災とそれに伴う福島第一原発事故に関して新聞研究部、販売正常化委員会、合理化対策部がパネルディスカッションなどを行いました。東北地連をはじめ全国の新聞労連加盟組合から約100人が出席し、九州地連からは永瀬徳豊副委員長、熊謙次朗青女部長、南日本新聞労組の桑元伸二委員長、西日本労組の伊東秀純組合員が参加しました。

 新研部発表では、原発事故により全町民が避難を余儀なくされている福島県浪江町の馬場有町長が基調講演。事故後、放射線の影響について国や県、東京電力から町への連絡が遅れたため、町民は放射線にさらされ、汚染された地下水で炊き出しをしたことなどを説明。「こんなばかにした話はない。まるで殺人行為だ。許せない」と憤り、今後も責任を追及していく考えを示しました。また、避難生活で散り散りになった町民たちに浪江町の情報を発信し、つながりを保ち続けていく考えも示しました。

 続いてパネルディスカッションが行われ、馬場町長と福島民友新聞社報道部記者の渡辺哲也氏、福島民報社報道部デスクの五十嵐稔氏がパネリストを、新聞労連産業政策研究会研究委員の櫛引素夫氏と東北地連新研部長の佐久間利幸氏がコーディネーターを務めました。渡辺、五十嵐の両氏からは、国や東電の情報公開の在り方に疑問がある一方、中央からの情報に頼らざるを得ない面もあり、ジレンマを抱えながら取材活動をつづけていることが報告されました。「震災から10カ月が経過して心の問題が深刻化している」「帰りたい人もいれば、子どものことを考えれば戻る気はないという人もいて、二つの思いをどうとりあげるのか考え続けている」などと取材の現状も示されました。馬場町長は「県外に避難している人にも浪江町のサービスを受けられるようにしなければならない。戻らない人のための支援事業もやりたい」と話しました。

 販売正常化委員会は「震災後の販売正常化の必要性」と題してパネルディスカッション。パネリストとして阪神大震災時に被災地の販売担当をしていた神戸新聞社販売第一部長の藤本雅之氏、新聞公正取引協議会福島県支部長で福島民報社販売部長の菅野俊之氏、福島民友新聞社販売部長待遇の渡辺順氏、コーディネーターとして東北地連販売正常化委員会事務局長の移川雄治氏が参加しました。藤本氏は、阪神大震災後に過当な販売競争が行われた実態を紹介。菅野氏と渡辺氏は、被災住民のためにもこうした混乱を招かないよう、新聞公正取引協議会福島県支部として共同声明を発表し、良識ある販売活動の徹底や仮設住宅などの共同管理、配達網復興への系統を超えた協力など福島県基本ルール「HUKUSHIMA PROGRAM」を掲げ対応したことを報告しました。

 3日は合理化対策部が「新聞社の危機管理について」をテーマに発表。第1部では、東北地連合理化対策部長の東海林伸吾氏が地連9組合を対象に実施した「緊急時の対応と心的外傷後ストレス障害(PTSD)」についてのアンケート結果を紹介しました。新聞印刷の災害協定については、ほとんどの社が締結していて、震災時に機能したことを説明。社内の連絡体制や社員の行動マニュアルについては、ほとんどの社で整備されていたものの、実際には機能しなかったり、周知徹底されていなかったとの回答があったことが示されました。食糧や燃料などの緊急物資の備蓄については、5社が備蓄していたと回答したことを報告。PTSDについては、「ある」と答えたのは1社で、もう1社が「調査中」としていることを説明しました。

 第2部は新聞労連中央執行委員を務めている神戸新聞労組の長沼隆之氏と元東北地連委員長の河北新報社の与野珠美氏がパネリスト、地連合理化対策部事務局長の猪俣光太郎氏がコーディネーターを務めてパネルディスカッション。長沼氏は、阪神大震災のとき、京都新聞と結んでいた災害協定が有効に発動したことを紹介。「阪神大震災後、全国に協定が広がっていった」と話しました。協定は震災の1年前に結ばれていましたが、「それは組合など働く者同士の連帯があったからではないか」として、「横のつながりが大きな力になる」と指摘しました。

 与野氏は、東日本大震災後、社内の食事提供班として活動したことを報告。新聞を発行できると分かった時、社員は何を食べるのかということになり、食堂に炊飯器を持ちこんで炊き出しをしておにぎりを配って回ったことなどを紹介しました。また、災害協定は近くの社とだけで結んでいても同時に被災する可能性があるため、遠隔地の社との協定締結や、物資不足などに陥るため様々な業種との協定締結の必要性を訴えました。

 集会では最後に「東日本大震災からまもなく1年が過ぎようとしているが、余震も続き、原発事故も収束の兆しがいまだ見えてこない。私たちはひとりではない。東北、全国の仲間が今日この日を再生の第一歩と願い、福島の地に集った。新聞の信頼性、これを失うことなく継続し読者へ届ける必要性、そして新聞労働者としての安全性といった三つの重要性を確認した。全国の仲間と連携しながら、東北地連の旗のもと団結し、希望の灯火を携え、一歩一歩力強く進んでいこう」とするアピール文を採択しました。

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