第56回定期大会 大会宣言

 「新聞業界は大きな転換点にさしかかっている」と言われて久しい。マルチメディア時代になって、読者にとって新聞は数あるメディアの選択肢の一つになった。ネット系への広告費は新聞へのそれを上回った。テレビ放送のデジタル化に伴い、ボタンひとつで画面上に番組表が表示され、天気やニュース、スポーツ結果なども瞬時に目にすることができる。五年後、十年後の新聞業界の姿を想像することが難しい時代になった。新聞労連組合員やともに新聞発行を支えて働いている非正規雇用者、関連会社職員にまで不安は広がっている。経営側の締め付けは、「利益確保」のための賃金引下げや、人減らしによる労働強化、「他社並みに」という名の不利益変更など、とどまるところを知らない。

 そんな今春闘の最中、3月11日に東日本大震災が発生した。多くの人的・物的被害を出したのみならず、福島原発事故問題や民主党政権下での政局の混乱など、将来の生活に不安の影を落とし、新聞業界のみならず日本中がその〝余震〟に翻弄され続けている。今こそわれわれ西日本に住む者が東日本に手を差しのべ、日本をけん引していく気概を持って行動を起こさねばならない。しかしながら、九州内においても原子力発電所を抱える県があり、自然災害や家畜疫病などに悩まされる県がある。それぞれの事情の中で、身の丈にあった活動をすることが精一杯なのもまた事実だ。一方で震災には、人と人の絆の強さ、紙媒体の持つ底力を再認識させられる一面もあった。先行きの不透明な業界だが、新聞の可能性は暗くないはずだ。

沖縄をはじめとする米軍基地ならびに訓練場移転問題からも目をそらしてはならない。これまで基地問題をはじめ原発問題でも「総論賛成、各論反対」の意識もあったことは否定できない。この震災を契機に、われわれマスコミで働く労働者は、常に権力を監視、検証していく姿勢を堅持すると同時に、平和と民主主義を守る観点での取り組みを一層強化していかなくてはならない。

組合は労働者のための組織である。働きやすく、ものが言える職場。やりがいのある仕事とその労働に見合った賃金を手に入れるために、議論すべきは議論し、闘うべきときは断固として闘わなくてはならない。各単組では年休を消化できぬ労務、派遣社員や嘱託の増加など課題が山積している。また「心の病」への対応も急務だ。われわれの未来のために、民主的で、風通しのよい議論をしたい。各単組の組合員一人一人が「他人任せにせず、自ら発言、行動していく」ことでしか、難局は乗り越えられない。1人の力は微力だが、それが集まり寄り添うことで強い力になることを、われわれは震災を通してあらためて実感した。これからも地連は一層団結し、全国の仲間と連帯していこう。

2011年8月25日

新聞労連九州地方連合

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