九地連産業研究学習会

6月21日、佐賀市・佐賀新聞社会議室で「九地連産業研究学習会」を開催、新聞労連産業政策研究会座長で河北仙販労働組合の小関勝也さんが「縮小する新聞産業の現状認識」のテーマで講演を行いました。

新聞産業の現状については「特定商取引法が改正され、訪問販売行為の規制強化に伴い新聞の勧誘もしづらくなるだろう。また、原油価格の高騰は新聞用紙代・購読料に影響が必至となる。どこの社も販売、広告収入の落ち込みは顕著となっている。新聞社の収入構造をみると販売収入は販売店へ、広告収入は広告会社へと読者や広告主へ直接販売行為をしない業態だ。広告収入が厳しいといわれて久しいが自社の努力で広告水準を上げるというのではなく、いかに広告会社に売り上げを伸ばしてもらうかという現状を考える必要がある。販売も同じことだが補助金を積めば跳ね返ってくるという時代ではない」と話しました。

新聞業界全体で部数が減った要因としては「新聞を売る、部数を伸ばすことだけに力を注いだ新聞業界は読ませる工夫を怠ってきた。市民感覚とのズレというか書いている側と読む側のズレも生じている。長期固定読者にはサービスがなく、逆に3カ月単位に新聞を切り替えた方がサービスを受けられるという矛盾もある。また毎朝、新聞を読むという習慣が変わり、新聞を読まなくても日常会話に困らなくなった」。これからの新聞のあり方については「読者を味方につけるための方策が必要だ。私たちの強みは発行部数の8割に近い長期固定購読者がいるということだ。この長期固定読者を維持していくことが最低限、売り上げを減らさないことになる。今までのように循環読者や無購読者ばかりに販促経費をかけるのではなく、購読を続けてくれる優良読者を増やすために顧客ロイヤルティを上げる施策を打たなければならない。その意味ではCRM(Customer Relationship Management)の実践が求められてくる。会員制度を設けてサービスを図るなど、読者ニーズに細かく対応することが顧客満足の向上へと繋がる。そのためには販売店のスキルアップが必要となる。読者との接触は販売店にしかできないのだから」と力説しました。

マーケティングの観点からは「今のマスメディアは20世紀型のアテンションモデルである。注意喚起型といって人が多く集まる場所に発信するタイプだ。これは検索ポータルサイトでいえばヤフーと同じ。しかし、クライアントは顧客のインタレスト(興味、関心)を絞って訴求したいと考えている。新聞は21世紀型のインタレストモデルを構築できないだろうか。それには販売店を使えば可能だと思う。販売店スタッフの頭の中にしか入っていない読者の趣味、嗜好をデータベース化すれば販売戦略に活用できるはずだ。それはヤフーに対してトップページに広告がないグーグルタイプといえるだろう」と話しました。

エリアマーケティングの必要性についても言及。「地方紙は特に県単位でのビジネスを地道に取り組んでいくしかない。エリアマーケティングの発想を持って販売、広告に取り組んでいく必要がある。そのためには社内、グループ会社、販売店の壁をなくしてエリア内で企業活動をすることだ」

新聞の将来、インターネットとの関わりについては「新聞産業が低迷している原因を分析してきたが、すべてネットにとって代わられることはないし、ネットの出現で多少販売、広告収入の落ち込みはあったものの、これはすべてネットだけのせいではない。新聞業界の努力不足のため読者から見放されたということ。つまり顧客のニーズを無視してきたことが新聞産業の低迷した要因だろう。しかし、私は新聞の必要性を強く感じている。たとえ紙媒体としてのニーズが縮小しても新聞の機能を守ることが重要だ。このことが新聞社を守ることであり、同時に新聞労働者を守ることにつながる」と話しました。

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